スプートニクの恋人

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T・レックス

スプートニクとは、

ロシア語で「旅の連れ」。

traveling companionのこと。

すみれ

すみれが激しい恋に落ちたのは22歳。

愛したのは女性で、「ミュウ」。

その頃、すみれは、ジャック・ケルアックの小説を好んで読んでいた。

「オン・ザ・ロード」や「ロンサム・トラヴェラー」だ。

すみれはミュウのことをスプートニクの恋人と呼んだ。

ちなみに、ジャック・ケルアックは意外と有名な小説家でした。俺は、映画も観ていました。

ぼく

そして、ぼくはすみれのことが好きだった。

すみれは小説を書くことが日課だった。

大学時代、何度もぼくのところへ小説を持ってきた。

すみれはグレゴリー・ペックに似た物凄いハンサムな歯科医とすみれの名前を付け若くして死んだ母親から生まれた。

そう、モーツアルトの歌曲「すみれ」から取られたのだ。

ミュウ

すみれはミュウの赤坂にあるオフィスで仕事をし始める。彼女のマンションにも行く。

そこには、ゴージャスな洋服がごまんとあり、ガラスケースに入ったマーク・ボランの蛇革のサンダルまである。

その頃の生活をすみれはぼくに話をしてくれる。そう、まるで、モルダウ河のように。

ぼくとすみれは顔を合わせると、何時間でも話をした。

1通の手紙

すみれと会って話をしているとき、ぼくは自分という人間の存在をありありと感じとることができた。

彼女と恋人同士になれたらどんなに素晴らしいかとぼくはいつも考えるが、彼女が男性としてのぼくに興味は抱いていなかった。

しかし、八月のはじめに、1通の長い手紙をぼくはすむれから受け取り、永遠に彼女に逢うことがなかった。

ロードス島の小さな島

すみれとミュウはヨーロッパに旅行に行った。

ぼくは大きくてカラフルなイタリアの切手が貼られた手紙をすみれから貰い知った。

彼女はイタリア中をミュウとアルファロメロで廻った。

ぼくは、バーでは、カナディアン・クラブのオンザロックを飲み、ヒューイ・ルース・アンド・ザ・ニュースが流れていた。

その夜、ミュウから電話が来た。ギリシャに来てくれとの電話だった。ギリシャのロードス島の近くの小さな島に。

ぼくは、ビニールのスポーツバックに着替えを詰め、ジョセフ・コンラッドの小説を2冊入れ、とりあえず、エール・フランスの乗った。

すみれの消滅と孤独

その何もない島でぼくがミュウに合い、ミュウから、すみれが煙のように消えてしまったと聞かされる。

そして、コテージで、ミュウからすみれが消えてしまうまでの長い話を聞いた。猫の不思議な話もあった。

その後、すみれの赤いスーツケースからフロッピーディスクを発見し、ぼくはその日記を読む。

そこから、ぼくはすみれが「あちら側」の世界に行ったと仮説を立てる。すみれは、本当に失われてしまったのだ。

どうして、みんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう。どうして、そんなに孤独になる必要があるのだ。この惑星は人々の寂寥を滋養として回転を続けているのか?

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