ポッド1:ショート・ショート

ショートショート
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実験

俳優横浜流星に注目しているので、そのコラボ的なものを色々考えてきたが、要は、彼の存在を感じさせるショート・ショートを作成することも一つの手だなと思い始めたので、ここは、実験をしてみることにしました。

要は、彼をフューチャーできるような短編小説とかエッセイとかの更なるショート・ショートを創作してみるということでしょうかね。勉強しませう、俺。

今回は、横浜流星の怜悧な美しい顔立ちを意識してのSF的なショート・ショートを書いてみた。彼の挿絵的な画像は、冷たささえもが、一つの預言とも感じられる。そんな感じのショート・ストーリー。彼の絵ほど、深いものはない。

ポッド

その時まで、こういう展開になるとは考えもしなかった。時間は、思いのほか、有効に流れていたし、逆流するような兆候はどこにもなかった。

ポッドの中は静かに平穏そのままだったし、揺らぎなど、何一つなかった。

何か、今までと違ったことが起きていたか、彼は思いを巡らせた。しかし、いつもと同じ状態で自分のいる狭い空間に変化があったような気配は全くない。

不思議な現象が起きているのは、間違いない。耳に圧力がきている。キーンという音が断続的に発生する。どこからその音が発生しているのかあたりを見回しても、どこにも、そんな音の気配がない。波に揺られているような気さえする。

俺自身?俺の中の体調の変化?俺の体の構成物の何かに変化が今起きているのか?先ほども、入念に自分の肉体の検査を量子コンピュータで精密におこなったばかりだ。脳神経系のニューロンの数本に挫滅があったが、数億の中の限りなくゼロに近いものであり、気にすることもないことだった。

肉体は正常のはず。そして、ミッションに向けて、ハード面でも、全ての機器や機械は正常に稼働している。加えて、出発前に、残っている自分の記憶や悪しき感情の忘却整理もきちんとしてきた。戻ってから、過去の想い出を含めたその手のモノは、また、インプットをして戻せば良い、だけのことだ。

だから、俺の頭の中には、このミッションを完遂するに足りるための全ての情報と技術知識と肉体のメインテナンス機能情報という論理的なものしか置かれていないはずだ。

何の不安もなく、何も思い悩むこともなく、このポッドの中に入った。ひも理論が証明されてからというもの、この100年の間に、時空を超える技術の発展は飛躍的に発展した。

500年前にあったマンガという不思議な古典の中にあった「どこでもドア」のような瞬時の異動は出来ないが、時間と時空をヒトは少しは支配できるようになったのだ。少しばかりの永い睡眠がポッドの中で必要であるが。

過去に戻る。このミッションは、500年前に戻るというものだ。今までの最高の遡及時間は250年前が最高限度であったのだから、大変な挑戦であるのだが、学者も長老たちも問題は多分ないだろうと言っていた。

そして、俺のミッションは、自分の祖先のある男に遭い、彼に関するデータを入手してくるというだけのことだった。(肉体のほんの一部を入手してくれば、直ぐに記憶培養出来るのにそれはしてはいけないというルールになっていたので)

何故、俺が選ばれたのかはよく分からない。遥か昔、地球にウィルスや地殻変動が起こる数々の大災害があり人口の激減しアジアと呼ばれる地域で戦争があった2025年から2030年にかけて、俺の祖先の男は、JAPANという今はない国の有名な俳優だったと言う。人に希望を与えたという神話的な男だと言う。

その時代から500年。彼の存在を証明するものがこの今には何もない。ようやく地表に出て活動が出来るようになった200年前に、地上にあるものは全て消滅してしまったのだ。

また、ポッドは揺れている。いや、俺が揺れているだけかもしれない。俺の頭の中にミッションとして入ってきた祖先の男の情報が俺に何かを伝えたがっているのだろうか。

何故、彼に逢わなくてはならないのか?そんな疑問までもが頭の中に出てきた。整理されロボット化されたはずの俺の頭の中に、少しずつ、バグが生じてきているようだ。

多分、彼が、今の世界の存在にとって、大変重要な意味を持っているのだろう。そして、ミッションとは裏腹に、不思議だが、俺は、何故か、今の世界で忌み嫌われている人間的な感情というものを持ち始めているようだ。

長い間、地中生活を余儀なくされた人間が生き残るために選んだ最適な選択が感情を極力捨てることだった。多くの戦争が起こり地球が破壊され、ヒトは初めて感情に従うことに問題があると結論付けたのだ。

それから、また長い年月が流れた。感情を排した世界は、多くの理論的な成果物を構築した。このポッドも、その一つだ。そして、ポッドは、論理的な世界において不十分なことや不備なものがあった時に、過去に戻りそれを補うためにだけ、今まで活用されてきた。

しかし、今回のミッションは、どうも違う。何かがおかしい。俺の祖先にどういう秘密があるのか。ミッションの背景は教えてもらえないし、その疑問を持つことも最小から消去されている。なのに、俺は、今疑問を持ち始めている。

ポッドの中での揺らぎに、不安は、もはやない。その男に逢えることに、むしろ、希望を持ち始めている。彼の役割は何なのか。そして、その時代に、彼はどう生きていたのか。

俺は、いつの間にか、また、眠りに入ってしまった。多分、今まで見たことのない夢とかいうものを見ることができるかもしれないと思いつつ。永い眠りにもどっていった。

流麗

そんなこんなで、美しさの根源に。時間旅行のお供に。


横浜流星写真集『流麗』

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