ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」
青豆の話で始まる村上春樹の1Q84には、最初に一番印象的な音楽について語られる。
そう、青豆が乗っているタクシーのFM放送局から流れるヤナーチェクの「シンフォニエッタ」だ。チェコの作曲家だ。
この小説に出会うまで、私はヤナーチェクを知らなかった。音楽に詳しい妻は何故か知っていた。
青豆
青豆は暗殺者だ。かなり、スタイルの良い暗殺者だ。彼女は、こんな感じだ。
シャルル・ジョルダンの栗色のヒールが路上に乾いた音を立て、風がコートの裾を揺らせた。既に四月に入っていたが、風はまだ冷たく、荒々しさの予感を含んでいた。彼女はジュンコ・シマダのグリーンの薄いスーツの上に、ベージュのスプリング・コートを着て、黒い革のショルダーーバッグをかけていた。
1Q84 BOOK1<4月―6月>前編
青豆はタイトなミニスカートで、レイバンのサングラスをかけ、首都高速のエッソの看板のあるあたりでタクシーを降り、ハイヒールを脱ぎ、非常階段を下りていく。
そして、2つの世界に入るのだ。
天吾
天吾は7年間予備校の講師をしていた。そして、文芸誌の新人賞の下読みの仕事もしていた。
彼自身が小説を応募する側であったが、小松との関係で、その仕事をもらっていた。
それで、ふかえりの空気さなぎと出会う。家にいる時、天吾は朝から夕方近くまで自分の小説を書く。
彼は、モンブランの万年筆とブルーのインクと四百字詰め原稿用紙があれば、満足だった。
バーとハゲ
青豆は暗殺を実行した後、赤坂のバーで酒が必要だった。
ピアノとギターのデュオがナット・キング・コールの古いレコードのコピーで「スイート・ロレイン」を演奏していた。
青豆はシマダ・ジュンコのビジネススーツを着て、大きなショルダーバッグを隣に置き、満州鉄道の本を読んでいた。
そして、髪が薄くなりかけている中年を待っていた。
彼女の理想はショーン・コネリーだ。
カティーサークのオンザロックを頼んだそんな男を見つけた。体の火照りを鎮めるためにだ。
タマル
タマルは屈強なボディガードだ。青豆の雇い主の女主人の屋敷に通常はいる。
彼は、高性能のオートマチック拳銃であるベレッタのモデル92を扱ったこともある。
十五連発のオートマチック、九ミリのパラベラムという弾丸を使う。
ふかえり
天吾の好きなものは、オリバーツイストに代表されるディケンズの小説と数学だ。
ふかえりの好きなものは、
平家物語、森鴎外の山椒大夫。
バッハの「平均律クラヴィーア曲集」、
「マタイ受難曲」BWV244。
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